おっさん提督の艦これ日誌

艦これメインで、趣味を綴る日誌

おっさん提督のチラシの裏㉙

29.【素直になれない者たち】


「なんだと貴様ぁ!もう一度言ってみろ!!」


「教官殿、私は全ての争いを否定している訳ではありません!
ただ現在の我々の敵、深海棲艦とは争い以外の方法もあるのではないかと考えているだけです。」




またあいつか…
よくもまぁ、凝りもせずいつもいつも上官にたてつけるものだ。




そうだ。




始めのうちはアイツの事を、こんな風に遠巻きに見ていただけだった。


だけど、同じような事で上官にたてついて叱責されているアイツの事見ていたら
知らず知らずのうちに興味を持つようになり、色々と話すようになった。



聞けば、アイツの考え方の根幹には生まれ故郷があるらしい。



そういえばアイツに、”なんでそこまで上官に食って掛るのか”を聞いた事があったな。


そしたらあいつは笑いながら…



「戦わなくて済むなら、お互い痛い思いをしなくて済むじゃないか。」


流石に初めて聞いたときは、『こいつは何を言ってるんだ?』と思ったな。


お互いの存亡をかけて戦っているのに、なんて呑気なヤツなんだと思ってた。



それでもアイツの方は俺とは波長が合うと感じたらしく、時間があればアイツは
自分の思いを暑苦しいくらい語ってきた。



最初のうちは、アイツの事を鬱陶しく感じて適当に流していたが
気が付けばいつも一緒にいる、そんな仲になっていた。





あぁ……そうだ……




こんな風に懐かしく感じるときは決まって……






「どうして…なんで俺たちを裏切る様な真似を!」


「……そう感じるのか、お前には。
裏切るとかそう言った事じゃあないんだがな。」


「今からでも遅くない!一緒に隊に帰ろう、な?
なんなら俺も上に掛け合ってやるから!」



そう言ったのに、お前は少しだけ困ったような顔をしたけど
直ぐいつもの笑顔を俺に向けて…





「俺の最後がお前の手に掛かるなら、それもいいか…」




なんでだよ。


何でそんな事を言うんだよ!


どうして分かってくれないんだよ!!






どうしてもお前に対して引き金が引けない俺は、ヤツに強引に拳銃を奪われた。


奪われて直ぐ、銃声が鳴ってお前は倒れた…




あぁ、そうだ。この後だ…


今も頭から離れずにいる、お前が息を引き取る寸前。
苦しそうにしながらも、真っ直ぐに俺を見て言った言葉。






「あ……あと…は、お前に任せる……よ。頼む…」










この夢のあと、目が覚めるのは毎回この言葉を聞いてからだ…




「ふぅ……」


大きなため息を吐いた後、寝起きで重い体を半ば強引に体を起こし
部屋の窓を開けて外の景色を眺めながら、心の中で呟き始める。





全く、とんでもない事を俺に託しやがって…
お陰で俺は今、こんなざまだぞ?おい、聞いてるのか?



だが、お前の蒔いた種は順調に育っているみたいだ。


探すのにはかなり苦労したがな。



しかし、俺の事を知ったらどんな事を言われるんだろうな?


何を言われても、何をされてもお前の言葉じゃあないが、



『お前の手に掛かるなら…』て、心境だよ。





それに、なんとか道筋の様なものは見えて来たぞ?



だけど時々不安で押し潰されそうになる…



『本当に俺が出来るのか?』と。





そして、徐に机の引き出しから丁寧に1枚のメモ用紙を取り出す。
そのメモは所々血の様なもので赤く染まっている。




「…今の俺は、お前の期待に応えられているのか?




なぁ、時任よ。」





そして誰も答える事の無い空へ向かって呟いた後、身支度を整え
いつもの様に仕事へ向かう為、部屋を出た。








仕事場に着くと、自身のデスクに山積みとなった書類に嘆息しながらも
黙々と整理をしていく。



ただひたすらに、まるで機械の様に書類を裁いていく…



しかし実際は生身の人間。
体は正直なもので、体を動かしていなくとも腹は減る。
空腹感を感じ、時計を見ると既に昼の12時を過ぎている。


「もうこんな時間か…」




作業を一区切りさせ、予め用意しておいた握り飯を持って
いつもの場所へ向かう。




昼食を摂る時はいつも一人。
そして食べる場所も、決まって中庭にある木陰のベンチ。


中庭の中央には大木が植えられており、その周囲を様々な草花で飾られ
職員たちの憩いの場となっている。




この場所が一番気持ちが安らぐ。




はずなのだが…




食べかけの握り飯を飲み込むと、男は目の前の大木に向けて話し掛ける。




「…いい加減出てきたらどうだ?」


「ありゃ、わかった?流石だねぇ。」


「一応、一緒に戦ってきた仲だから多少の気配は、な。
と、言うよりも、いかにも”見つけてくれ”って感じたぞ?」


「えぇ~っ!そうかなぁ?…私もまだまだだなぁ。」



そう言って、ワザとらしく舌を出しながら男の前に現れたのは
軽巡洋艦”川内”。



「久しぶりだねぇ。もうどれくらい経つのかなぁ。ね! ”神保提督”?」


「”元”が付くぞ。それにもう俺は…いや、何でもない。」


「いやいやいや、それって何かあるって言ってる様なもんじゃん!
でも、話してくれそうには…ないか。




まぁいいや。…隣、いい?」



川内の問いに、無言でスペースを開ける神保。


”ありがと!”


そう礼を言って、川内は神保の隣に座る。



それから暫く、他愛のない会話を続けていた二人だが
話しの流れが途切れたのを切っ掛けに、神保が改めて問い掛ける。




「……それで?」


「ん?」


「恍けるなよ。何か俺に聞きたい事でもあるんじゃあないのか?」


「う~んとねぇ…じゃあ、今やってる仕事で機密的な」
「言えるか。バーカ。」


「うそうそ!
折角こっちに来たからさ、久しぶりに話でもしようかと思っただけだって。
…あぁっ!何その目!疑り深いなぁ…」



神保から疑いの眼差しを向けられた川内は、不服そうに頬を膨らませて抗議する。



だが、疑われるのも無理はない。


当時、神保の部下として動いていた川内は所謂”なんでも屋”。


戦闘は勿論、艦娘達の折衝の他、各種情報収集などを担当していたのだから。



「相変わらず慎重と言うか何と言うか…そんなんだから、お昼に一人飯なんじゃない?」


「余計なお世話だ。ほっとけ。」


「こりゃ失敬…」




おどけた様に川内が謝罪すると、呆れた様に嘆息した神保が俯きながらポツリと呟く。




「俺は慎重なんかじゃあ…ない。ただ、臆病なだけだ。
失敗する事を恐れてばかりで動くことが出来ず…


だからお前たちには面倒を掛けっぱなしだった。」



そう言って、自嘲しながら神保が続ける。



「そんな臆病者だったから今はこんな、砲弾も飛んでこない場所で呑気に書類整理なんかをしている。
お前たちからすれば、さぞかしいい笑いの種だろうな。ははっ…



だけどな川内、俺は」


「はいスト~ップ!」


まだ何かを訴えかけようとしていた神保を川内が制し
小言交じりに神保へ投げかける。


「《《私には》》ちゃんと分かってるって!もう、みなまで言うな!」


「・・・すまん。」


「別に何も責めてないじゃん。
それに多分、その続きはちゃんと《《本人の》》前で言った方がいいんじゃない?」



川内からすれば、神保に対し別に怒っているわけではないのだが
思った以上に暗くなってしまっている神保を見て、発破をかける意味で続けた。



「自分の中に留めて置く事がいい時もあるけど
ちゃんと相手に伝えないと分からない事もあるよ?」


「…だが、俺にはもう、その資格がない。」




『こう言う所なんだよねぇ…一度気持ちが落ちると中々上がってこないし。
だから肝心な事がいつも伝わらない。』




どうしたものかと思案していると、神保は腕時計に目をやった後
立ち上がってその場を去ろうとする。



「ちょ、ちょっと神保提督!…もしかして、怒ったの?」


「この程度の事で俺が怒る訳がない事くらい、お前ならわかる筈だろう?」


川内に対し背を向けたままではあるが、神保はそう答えた後
徐に空を見上げて続ける。



「まぁいずれ、その時が来れば話せるかもしれんな。」


「でも、提と」


「”元提督”だ。ほら、こんな所で俺と長話をしてるとお前も目を付けられるぞ?


それじゃあ、な。」



そう言い残し、神保はその場を去って行った。



時には苦言を呈し、時には励まし、陰で支えてきた。


当時の秘書官である、山城よりも近しい存在であったと自負しているからこそ
進言したつもりではあったが、どうやら余計に殻に閉じこもってしまったようだ。



遠くなっていく神保の背中を見ながら川内が呟く。


『”いずれ”、か…ホント、損な性格だね。』















そして、神保と川内が旧交を温めていた頃、時任達は谷崎率いる艦隊に対し
三度目の演習に挑んでいた。



「ヤセン…か。時雨、浦風!損傷の具合はドーデスカ?」


「僕は中破。だけど行けるよ!浦風は?」


「ウチは小破じゃけど、勿論行けるわいね!」



今回は空母組の翔鶴と龍驤が意地を見せ、加賀の封じ込めに成功。
だが、大破に追い込めたのは加賀と秋月のみで、旗艦である金剛は小破に留めたものの
こちらの損害は翔鶴・龍驤、そして白露が大破判定。


残る相手は中破1(神通)、小破2(ビスマルク・綾波)、そして高雄に至っては無傷という状況。


内容的に少々分が悪く、継戦の有無を戸惑っていた時任の下へ
旗艦である金剛から通信が入る。



「Bring it on!


Hey、大尉!夜戦の許可をお願いシマース!他の2人もやる気MAXネー!」



夜戦となれば、要になるのは時雨と浦風。しかし時雨は中破状態…
だが彼女たちの戦意が衰えていないとなれば…


時任は一瞬躊躇いの表情を見せたが、彼女たちを信じて命令を下す。


『よし。金剛、時雨、それに浦風!夜戦にて追撃の許可をする。
後は作戦通りに、な!』


「「「了解!!!」」」




一方、谷崎の指揮所では…



「ほぉ、夜戦突入を許可したか。まぁあの損傷具合ならば、当然来るだろうな。
聞こえるか?ビスマルク!」


『なによ?』


「残った奴らは、ちょいとばかし厄介だが…やれるか?」


『…誰に物を言っているの?当り前じゃない!
改めて私の夜戦能力、そこでとくと見てなさい!』


「OKだ。よし、高雄はビスマルクに付いて時雨と浦風に。
綾波は神通に付き金剛を狙え!」


「「「「了解!!」」」」




三度目の演習挑戦にして、初の夜戦突入。



しかもそれを《《狙って成功させた》》のだから、否が応でも気分が高揚する。


前回前々回と、隊を2つに分けて敗北。
その教訓を生かして、戦力を集中させるかと思いきや今回は更に分けて3つに分散。



翔鶴と龍驤が加賀を抑え込み、随伴の秋月と共に大破させ
時雨と浦風が神通を執拗に追い回し、海域から引き離す。


そして…


「いったぁ・・・でも、役割は果たしたからね!時雨、浦風!後は任せたよ!」


「うん、任されたよ。じゃあ、行くよ!浦風!」


「は~いよっ!」



金剛の援護もしつつ、ビスマルクと高雄に狙いを絞らせない様
ひたすら海域を掻き回した白露。


常に”一番”をこよなく愛する彼女に相応しい一番の活躍であった。



そして、残った者たちがそれぞれの思いを胸に夜戦演習が開始された。



「探照灯…照射します!綾波さん!」


神通からの探照灯照射により、旗艦の金剛が照らされ綾波が攻撃態勢に入ったが
次の瞬間砲撃音が鳴り、探照灯の光と共に神通の通信が切れる。


「探照灯で狙ってくるのはお見通しデース!…Next!」


こちらは相手の残った状況を見て、探照灯を逆手に取った金剛の読み勝ち。



「|Es ist hartnäckig! !!《しつっこい!!》高雄、そこから狙える?」


「やってみます!…けど、これだけ動かれてしまっては…」



中破しているものの、白露同様ひたすら海域を動き回りつつビスマルクを牽制する時雨と
隙あらば!と虎視眈々と必殺の魚雷で狙う浦風。


「時雨、しゃーなー?まだ行ける?」


「うん、まだまだ!今日こそは…」



夜戦では自分達駆逐艦の働きが勝敗を左右する。


その事が十二分に分かっているからこそ否が応でも力が入る。



『僕が、僕たちが大尉の力になるんだ!
それをこの演習で証明して見せる!』


時雨はその一心でこの夜戦に臨んでいた。






そして、千載一遇のチャンスがやってくる。



「「きゃあっ!」」



時雨の牽制に大きく態勢が崩した高雄が、勢い余ってビスマルクに接触してしまい
二人の動きが止まる。



「そこじゃ!貰うたよ!」


浦風から発射された魚雷が命中し、標的である二人が居る場所から悲鳴と共に
爆発が起こる。



「や、やった…の?」


「やったよ時雨!うちらが勝ったんじゃ!!」




『勝った…?僕たちが勝ったの?


僕は大尉の力になれたの?』



まだ状況が飲み込めず、茫然としている時雨。




「そ、そうだ大尉に報告を」


『回避だ!急げ!!』


「え?」



時任に報告をしようと通信を開いた次の瞬間、時雨は衝撃と爆風で吹き飛ばされ
大破の判定を受ける。



「え?何?何が起きとるんじゃ?」


状況が飲み込めず狼狽する浦風だったが、程なくして現状をを理解する。



「そ、そんな…」



浦風が絶望の眼差しで見つめたその先には…



「|Es war schade.《残念だったわね》最後まで確認を怠った貴女たちの負けよ!」


そう言い放ち、”大破した高雄”を抱えながらも、浦風に砲塔を向ける”無傷のビスマルク”の姿があった。




それから数分後、時雨と浦風大破の報告を受けた金剛が演習終了を促す
撤退信号を打ち上げた為、時任艦隊の敗北が決定した。




~谷崎指揮所~


「ふぅ…。今回はちょっと危なかったな。
高雄、大丈夫か?」


『え、えぇ、何とか。でも、間に合って良かったです。』



時雨と浦風に掻き回され、体勢を崩しビスマルクと接触した高雄は
とっさの判断でビスマルクを庇って大破。


それを誤認した二人の隙を突き、ビスマルクが魚雷と主砲を発射。


勝ったと思い込み、緊張の糸が切れた状態でこれを躱す術は二人にはなく
敢え無く大破となった訳である。



『全く、私を庇って大破なんて…でも、Danke.』


「お?珍しく素直じゃないか、えぇ?ビスマルクよ。」


『べ、別にそんなんじゃないわよ!大体、あのくらい私なら何とでも』


「はいはい、ツンデレツンデレ」


そう言った後、ビスマルクからの言い訳という名の抗議がひたすら続く前に通信を切る。


そして、何事もなかったかのように執務に戻ろうとする谷崎に、扶桑が声を掛けた。


「提督、今回くらいは宜しいのではないですか?」


「ん?何の事だ?」



扶桑の問いに惚けて見せるが、そこは長年付き添ってきた秘書官。
すっかりお見通しである。


「先程の貴方の言葉を借りれば、"つんでれ"?でしたか。
素直に褒めてあげてはいかがです?」


そう言って微笑みながら谷崎を見た後、”さぁ早く!”背中を押す。


「…それじゃあ、ちょっと行ってくるわ。」


照れ隠しの為に制帽を目深に被り、指揮所を出る谷崎。



今回の演習。
負けたとはいえ夜戦までもつれ込み、あわやという場面まで作り出した。



『しかも、まだ3回目。たった1か月程の期間でこれだ。
俺の目も、まだ曇ってなかったって事だよな!


これからだ。これからが本当に楽しみになってきたぞ、時任。』



「おーい、時と」


目的の場所と人物を見つけ、谷崎は声を掛けようとしたが
慌てて口をつぐみ、近くの建物の陰に身を隠す。




「どうして最後まで確認をしなかった?
君たち二人は、そんなに自信家だったのか?」



見るとそこには、時雨と浦風。
そして二人を、普段はあまり見せない厳しい表情で𠮟責しているの時任の姿があった。


「自分たちの作戦が上手くいったからと言って、浮足立って
肝心な所を疎かにしては、全く意味がないじゃないか。」


ただ傍から見ても、目前に迫った勝利を逃した責任を執拗に追及したり
自身の苛立ちをぶつけている様には見えない。


𠮟責される理由を理解している為か、当の二人は反論もせず俯いたままだ。



失敗した時、何かしらの言い訳をする者に対して時任が口癖の様に言っている事。



”それは実戦でも同じことが言えるのか?”



時任から日々、口を酸っぱくして言われてきた事が頭に残っているからだろう。




「Hey,大尉。今回の件は」


見かねた金剛が、間に入ろうとするが傍にいた翔鶴に止められる。



「Why?何故止めるデース。負けた責任なら私たちにもありマース!」


金剛の問いに頭を左右に振った後、彼女の耳元に顔を近づけて
こう答えた。


「以前、大尉がおっしゃっていた事を覚えていますか?


”自分も成長する為に力を貸してほしい”と言っていた事を。」



翔鶴が言っているのは、隊のメンバーを集めた際に行った所信表明の事だ。


その言葉にハッとする金剛。


「……Yes.」


「それに見て下さい、大尉のあの表情。
あんなに辛そうな顔をしながら、他人を叱る人を私は見た事がありません。」



艦隊を指揮する者にとって、時には冷酷な判断を下す事は避けて通る事は出来ない。


今回の様に、自身の部下をしっ責する事もまた然り。



「今日の事に関しては、私たちは戻ってから時雨さんたちのフォローに廻りましょう。」


「Okey-Dokey!そう言う事なら任せて下サーイ!
大尉ー、私たちはお先に失礼シマース!」



そう言い残し、翔鶴と金剛は工廠へと戻って行き、時任も無言ではあるが
手を挙げてそれに応える。



「さて…」


改めて二人の方を見るが、かなりの落ち込み様で今にも泣きだしそうだ。



『…少し言い過ぎたか?すまない…でも、二人共分かってくれ。』



時任は心の中で二人に詫びた後、二人の頭に軽く手をのせながら、声を掛ける。


「結果は残念だったけど…よく頑張ってくれたね。お疲れ様。」


すると今まで我慢していた分、優しくされた事で気が緩んだのか
時雨と浦風は泣き出してしまう。


「たい、い…ご、ごめん、なさい。」
「う、ウチもごめんなさい。もう絶対…絶対に同じ失敗はせんから…」



「わかった。次からは、同じ事が無い様に頼むよ、二人共。
さぁ、今日はもう部屋でゆっくりと休むといい。」


そう言い残し、時任もその場を後にした。





「なんだよ。フォローを入れようかと思ったけど…
俺が何も言わなくてもしっかりと成長してるじゃないかよ。


こりゃあ、いよいよ締めてかからにゃいかんな。」


そう呟いた後、谷崎もその場を離れた。

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